事業承継対策の神髄は「税金対策」ではなく「経営の継続」にあります
事業承継というと、「相続税や贈与税をどう抑えるか」という“節税の話”に焦点が当たりがちです。
しかし、本当の事業承継対策の目的は、会社を次の世代に“無理なく、安心して引き継ぐ”ことにあります。
税金対策は、その一部分にすぎません。
真の事業承継は、
- 経営者としての想い(理念)を次世代にどう伝えるか、
- 後継者が会社を支えられるだけの体制・資金・人材をどう整えるか、
- 万が一のときでも会社が止まらない仕組みをどう作るか、
という「経営の継続設計」そのものです。
たとえば、相続対策だけを急いで株式を分散させてしまうと、後継者の議決権が弱まり、かえって会社が動きにくくなることもあります。
一方で、株式の集中や承継スキームを意識しすぎると、他の相続人とのバランスが崩れ、家族関係が悪化してしまうこともあります。
つまり、税務・法務・人・お金の流れをすべて一体で考えることが、事業承継の“神髄”です。
事業承継は、ある日突然やってくるものではありません。
今日の経営判断ひとつひとつが、すでに「承継の準備」につながっています。
後継者の育成、会社の財務基盤の見直し、経営理念の共有──どれも時間がかかるものです。
早い段階から準備を始め、税金よりも「経営をつなぐ」という視点で全体を設計していただければと思います。