相続・事業承継

公正証書による贈与

    公正証書で贈与契約をしても、必ずその年に贈与税が課されるとは限りません

    贈与税は、「贈与によって財産の所有権が移転した時点」で課税される税金です。
    ここで注意が必要なのが、公正証書で贈与契約を作成した場合の課税時期です。

    一見すると、公正証書を作った時点で「贈与が成立した」と考えがちですが、実際の課税時期は財産の引渡しや名義変更が完了した時点とされます。

    つまり、契約書を作っても財産の移転がまだ行われていなければ、その年の贈与とはみなされない可能性があるのです。

    たとえば次のようなケースがあります

    【例】
    令和6年12月に、父が子に対して不動産を贈与する契約を公正証書で作成したが、実際の登記名義変更は翌年3月に行われた。

    この場合、贈与税の課税時期は登記が完了した令和7年となり、令和7年分の贈与税申告が必要になります。

    一方で、現金の贈与などの場合は、実際に口座に振り込まれた日や現金を手渡した日が「贈与があった日」となります。

    つまり、契約書の作成日ではなく、実際に財産が移った時期が基準になる点が大切です。

    したがって、公正証書を作成する場合も、「いつ財産が移転したか」「実際に名義変更したのはいつか」をしっかり確認しておくことが重要です。

    形式的に書面を作っただけでは、税務上の効果が生じないこともあります。

    贈与税の課税時期を誤ると、申告期限や税額計算を誤る原因になります。

    贈与契約を検討される際は、実際の移転時期と税務上のタイミングを一致させることを意識することが大切です。

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